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くるみ割り人形と秘密の王国

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タッタタタタッタッタッタッター、「くるみ割り人形」と言われて頭に浮かんだのはあのメロディだった。誰だっけほら、そう、チャイコフスキー、なんか有名なバレエよね、たしかくるみ割り人形が王子様かなんかになって、おもちゃの世界に行ってネズミと戦うような話よね、という程度の認識だった。

映画はクララが弟とネズミ捕りをしている場面から始まる。ほらやっぱりネズミだ。やはりネズミが出てくる話だった。しかしそのネズミ捕りがちょっと普通ではない。クララは物理について弟に語りながら大掛かりなピタゴラスイッチ的装置を動かしてネズミを捕らえるのだ。なにか様子がおかしいと思いつつも、物語はクリスマスに。そうそうクリスマスの話だった。こうして記憶の中にある「くるみ割り人形」の断片が映画によって組み立てられて行き、もともとはどういう話だったのかさっぱりわからなくなってくる。

「くるみ割り人形」の再構築としては面白いがテーマは薄い。冒頭で深みのある魅力的な女性だったクララが物語を経て安っぽい成長を遂げることも少々気になる。でも金平糖の精を演じるキーラ・ナイトレイの怪演はそれだけでもわざわざ見に行く価値がある。(映画ライター・ケン坊)

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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「白雪姫」や「赤ずきんちゃん」みたいに誰もが知っているというほどではないけれど聞いたことぐらいはある。「くるみ割り人形」の認知度というのはそういう微妙なところにあるのではないかと思う。私のように、タイトルは知っているし曲も思い出せるけれど細かいストーリーはわからない、という人は少なくないのではないだろうか。

この映画版は本来の「くるみ割り人形」にある要素をうまい具合に再配置して、100分程度の映画にふさわしい展開をもったストーリーとして組み上げてある。ひとひねり効いていて興味深い。ただ、どうも細部が甘くて色々気になってしまう。ご都合主義は丸出しだし、人物は奥行きがまるで無いし、テーマも薄い。エンターテイメントとして目には楽しいけれど残るものが全然ないのだ。では映画としてさっぱり魅力がないのかというとそんなこともない。まず圧倒的なのはモーガン・フリーマン。私は以前別のところでも「モーガン・フリーマン=説得力」を力説したことがある。要するにモーガン・フリーマンが登場するとどんな世界でも成立してしまうということだ。本作でも初めてモーガン・フリーマンの登場するシーンでいきなりその魔力が発揮される。現実世界として描かれていたはずのリアリティのある情景が、その工房のようなところに一歩踏み入れた途端に全部吹っ飛び、超現実的な光景が広がる。なんなんだここは、と思って見ていると眼帯をしたモーガン・フリーマンが現れる。それだけでもう、「ああ、ナルホド。」と思うのだ。どれほど信じがたい光景だろうと、モーガン・フリーマンが出てくると「ナルホド」と思える。彼に説得力があるのではなく、彼そのものが説得力なのだ。強烈に印象に残るのだが、見終えて振り返ると実にモーガン・フリーマンの登場シーンなどごくわずかなのだ。ワンカットでも登場すればもうその世界を支配してしまうのだ。

そしておもちゃの世界で出会うシュガー・プラム。強力な存在感を放つこの人物をキーラ・ナイトレイが怪演している。まさに怪演という言葉がぴったりくるような強烈な芝居だ。ものすごい濃さで、絢爛豪華なセットの中でまるっきり埋もれることなく魅力をぶちまける。鑑賞後の熱が引き波のように去ったあとにモーガン・フリーマンとキーラ・ナイトレイが強烈に残る。ストーリーもテーマも全然残らなかったのに満足度はとても高いのだ。

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